猫の通院は大騒動!?お出かけを苦手にしないポイントとは?

猫を動物病院に連れて行くとき、猫が嫌がるので苦労している

猫を動物病院に連れて行くとき、猫が嫌がるので苦労しているという人も多いのでは? どうしたらいいのか、猫の診療環境の向上に長年取り組んでいるマーブル動物医療センター院長の難波信一先生にお話をお伺いしました。

通院時のストレスをできるだけ減らしてあげて!

通院時のストレスをできるだけ減らしてあげて!

動物病院でも活躍している「フェリウェイ」

──猫が通院を嫌がるのは、仕方がないことですか?

難波先生:確かに、猫にとって通院とは、突然外に連れ出され、ほかの動物のいる場所で知らない人に体を触られるという、不安な経験の連続です。診察の際、猫を飼い主さんが引きずり出そうとしてしまうと、ますます興奮して暴れてしまいますよね。猫も嫌な思いをしますし、診察もしづらくなります。

──できるだけ穏やかに診察を受けさせたいです。通院時に工夫できるポイントはありますか?

難波先生:そのためには、獣医師も、飼い主さんも、猫の性質を理解して、無理をしないことが大切です。
猫はもともと狭いところに入ると落ち着く生き物です。ふだんからキャリーケースでごはんを食べる習慣にすると、キャリーケースに入るのを怖がらなくなります。
周りから隠れている気分になれるようにバスタオルなどで視界をさえぎって、静かに運ぶようにしましょう。高い所のほうが落ち着くので、キャリーケースを床に置かないことも大切です。
診察時には、キャリーケースから猫を無理に出さず、猫に詳しい獣医師や動物看護士におまかせするといいですね。獣医師も、飼い主さんも、できるだけ静かにゆっくり動いて、猫をびっくりさせないのがポイントです。
さらに、当センターでは、猫用フェロモン製品の「フェリウェイ」を使っています。飼い主さんにもオススメです。

センター内では、猫の診療体制にフェリウェイを活用している

センター内では、猫の診療体制にフェリウェイを活用している

──センターでは、フェリウェイをどのように使っているのですか?

難波先生:当センターでは、リキッドタイプを常に拡散させているほか、スプレータイプを使って、猫の診察やお世話をするスタッフからもフェリウェイのフェロモン成分が感じられるようにしています。

──フェリウェイは、空間にはリキッドタイプ、ポイントにはスプレータイプを使うといいんですね。特に通院のようなお出かけには、スプレータイプが活躍しそうです。

自宅でもこんなに使える! フェリウェイスプレーの正しい使い方

(1)緊張するお出かけの前に、キャリーケースに!

緊張するお出かけの前に、キャリーケースに!

【ポイント】

  • 使う15分以上前にキャリーケースや敷物などにスプレーする。
  • アルコール臭が消えたらOK!
  • 通院のほか、引っ越しや帰省などで移動が必要な場合にも!

難波先生:スプレータイプを使うときは、よく乾かすのがポイントです。
猫は、とくに7~8才を過ぎると甲状腺や腎臓の病気がぐっと増えてきます。体重管理なども含めて定期検診が重要ですので、最初にお伝えした通院時のポイントも実行して、猫をやさしく連れてきてください。

(2)愛猫がストレス行動をみせる場所に!

愛猫がストレス行動をみせる場所に!

猫が過ごす寝床にスプレーするほか、壁や家具など、困る場所にマーキングやひっかきをする場合にスプレーする。

【ポイント】

  • 猫が寝床にいるときにはスプレーしないこと。
  • 問題行動をする場所には1日1~2回のスプレーをしばらく継続して行う。

※家具や床などのシミ・変色の原因となる場合がありますので、使用前に目立たない部分でテストすることをおすすめします。

フェリウェイを使ってみたいときは、動物病院に相談!

難波先生:問題行動は、ストレスの原因をさぐることが大切です。「何か変化がなかったか」がポイントです。新しい動物や赤ちゃんが家族に加わった、近所で工事が始まった、など、心当たりを詳しくお聞きするようにしています。また、病気の症状の原因がストレスと考えられる場合もあり、治療と平行してご自宅でフェリウェイを使ってみてはと提案することもあります。

猫を迎え入れたらフェリウェイを用意して!

難波先生:飼い主さんにとって気になる問題行動がない場合でも、室内飼いの猫たちは、何かストレスを感じているかもしれません。私が猫と暮らしていたときは、リキッドタイプをずっと愛用していました。フェリウェイは、スプレーするだけ、コンセントにさすだけといった、生活に簡単に加えられる製品ですので、猫を飼い始めたら飼い主のみなさんにはぜひ使ってほしいと言いたいです。

愛猫との暮らしにフェリウェイ、みなさんも始めてみませんか。

猫の通院が大変なのは仕方がないと思っていましたが、落ち着かせる工夫や、フェリウェイを使うといったアプローチがあるんですね。
人との暮らしの中で感じている、猫のストレス、見逃したくありません。愛猫との暮らしにフェリウェイ、みなさんも始めてみませんか。

お話をお聞きした先生

難波信一先生

難波信一先生

1985年

日本大学農獣医学部獣医学科卒業

1987年

日本大学大学院博士前期課程修了 獣医師免許取得

1991年

アメリカ・テキサスA&M大学心臓病科にて研修

1993年

神奈川県藤沢市にマーブル動物病院設立

2003年

マーブル動物医療センター開設

2003年

日本大学大学院博士課程修了 博士(獣医学)

現在、JSFMねこ医学会アドバイザーを務める。
猫の身体だけでなく、精神的、社会的な健康増進を目指します。
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本ブログ記事は、
ねこのきもちWEB MAGAZINE
より作成しました。